おおきいぐみさん、いままでありがとう!
とある日、年中組の子どもたちと「もうすぐで大きい組さんだね。」「おおきいくみさんのせんせいは、だれになるかな?」「おおきみぐみのなまえは、さくらくみさんじゃなくて、つぎは、ももぐみかな?」なんて自分たちが年長になることに期待を膨らませて話していると、
「おおきいぐみさんは、しょうがっこういくんだよね。」「もうすこしで、おわかれだね。」という声が聞こえてきました。その話から、「おにごっこにいれてもらった。」「○○くん、かえるときに、いつもおもしろかった。」「やさしくしてくれた。」と年長組との思い出に花が咲きました。すると、「おおきいぐみさんに、たんじょうびプレゼントもらったから、おかえししよう!」とみんなに声をかける子が。その意見に賛同する子がどんどん出てきて、「じゃあ、みんなでないしょにして、びっくりさせない?」「なにつくる?」と、年長組に内緒の作戦が始まりました。
子どもたちからそういった声が上がるのも、年長組の子どもたちと一緒に幼稚園で過ごした歩みなのでしょう。
年少さんも加わり、「おおきぐみさんには、ないしょね~」と年長さんにバレないようにと二週間も前から少しずつ準備をしてきました。準備している途中、友だちと目と目が合い、し~。」と小声で話しているだけなのに、クスクスとなんだか笑いが止まりません。
年中組と年少組で一緒にプレゼントを作りました。年中組の子が年少さんに「どれがいい?」「これは、どう?」と声をかけ材料をとっていたり、大量に材料を持っていこうとする年少さんに少し困惑しながらも、注意するわけでもなく「もうそろそろいいかな」と気遣って声をかけていたりと、『おにいさん・おねえさん』らしさを発揮しながら、一緒に作っていました。
「こっちに、はってー」「このいろに、しよー」と一緒に相談しながら作る子も。
「おへやも、きれいにして、びっくりさせよう!」と好きなあそびでも楽しんでいた輪つなぎも作りました。
年中組の部屋に入ってきた年長さんが「これ、なぁに?」と聞いてくることもありましたが、「ちいいさいぐみさんにプレゼントするやつだから!!」と返し、ファインプレーのおかげで、全く年長さんに気付かれずに、着々と準備が進んでいきました。
前日には、カーテンで遊戯室を隠し、脚立に乗って輪つなぎを飾ったり、年長組にお礼の言葉や絵を描いたり、折り紙で花を作ったりして、みんなで力を合わせて遊戯室を華やかにしました。
出来上がると「ないしょのさくせん、せいこうさせるぞ~」「えいえいお~!!」と意気込み、
みんなで作った招待状を年長さんの部屋まで届けに行きました。
ポカンとする年長組さん。その表情を見ると、年中さん年少さんが二週間という長い間、本当にバレないようにしていたのだなと伺えます。
話していると、年長さんもだんだんと状況を理解しはじめ、楽しみにする声が聞こえてきました。
迎えたおわかれ会当日。修了式ごっこを重ねてきただけあって、キリッとした表情でピアノに合わせて入場する年長さん。
色とりどりに飾られた遊戯室を見渡す子どもたち。
年長さんの素敵なところを伝えたり、歌のプレゼントをしたり、みんなで一緒にモハメッド先生と一緒にダンスをして楽しみました。
そして、お楽しみの後は、年中少からのプレゼントです。
「めーつむってーめーつむってー」と今日は誕生日の時とは、逆パターン。
照れくささから、口角が上がりっぱなしの子や、しれっと薄目を開けている子も。
目を開けると、いい表情で驚く年長さん。受け取って、再び席に戻ると、互いに見せ合って、喜びを分かち合っていました。
プレゼントは、小学校でも使えるようにと、手紙を入れるファイルと幼稚園のみんなと撮った記念写真です。
お返しにと年長組さんが修了式で歌う歌を披露してくれました。感動して思わず涙する教師もチラホラ。あとで子どもたちに「なんでないているの?」と突っ込まれていました。
歌うだけでも、今まで子どもたちが歩んできた情景が垣間見え、心を揺さぶられるものがあります。「あんなに、ちいさかったみんなが・・・。」
遊戯室でのお楽しみが終わった後は、半分に分かれ、触れ合いあそびやゲームを楽しみました。
みんなでお弁当も食べましたよ。
「○○くんとたべたい。」とお目当てのお兄ちゃんの手を離さなかった子、「おなじコースだから」と一緒に座る子、あんまり関わりのなかった子も今ハマっているアニメの話題で盛り上がったりと、周りの友だちと会話したり、一緒に食べたりすることを楽しんでいました。
一緒にみんなでお弁当を食べたからでしょう。その後園庭では、学年の垣根を越えて、一緒にドッジボールをしたり、かくれんぼをしたり、おうちごっこをしたりして遊ぶ姿が見られました。
こうした何気ない子ども同士のかかわりが、何かしらその子の中で心に残り、年長に憧れの気持ちを持ったり、年下や同世代に思いやりの気持ちを持ったりと、一人一人が感じるきっかけになればいいなと思います。
年長さんだけではなく、今年度、同じクラス・環境で過ごすのもすぐに数えられるくらいの日数となりました。一日一日を大切にとことん遊んでいきたいと思います。